サンマの生態と不漁の実態:漁獲量はなぜここまで減ったのか
2026.07.25
サンマの生態
サンマ(学名Cololabis saira)は、ダツ目サンマ科に属する魚で、主に北太平洋に分布している。成魚の体長はおおむね30cm前後で、寿命は1〜2年程度と短い。そのため、生涯にほぼ一度だけ産卵を行い、一生を終える生活史を持つ。
サンマは春から初夏にかけて、日本近海の比較的南方の海域である黒潮域にて産卵を行う。産卵後、孵化した稚魚は動物プランクトンなどを食べながら成長し、北上していく。夏になると、親潮(千島海流)が流れる北太平洋の沖合にまで北上し、そこで動物プランクトンを主食として成長する。
秋が訪れ、水温が下がり始めると、サンマは南下を始める。三陸沖や北海道沖を通過する頃には脂がのり、漁期を迎える。この時期に日本近海に来遊することから「秋刀魚」と呼ばれ、秋の味覚として位置づけられている。
近年のサンマの不漁の状況
近年、日本のサンマ漁獲量は大きく減少している。かつては60万トン規模であった漁獲量が、2021年には統計開始以来最小の9.3万トンにまで落ち込み、資源評価は「枯渇状態」とされた。この状態は漁業関係者や生態系に深刻な影響を与えている。
2025年の日本の漁獲枠(TAC)は、前年より約1割減の9万5623トンとなり、漁獲枠の設定が始まった1997年以来、初めて10万トンを下回った。さらに、2026年には北太平洋漁業委員会(NPFC)が管轄する公海域での総漁獲枠が11万5425トンであるのに対し、日本政府が設定したTACは9万1554トンとなっている。
日本はかつて漁獲量で世界一であったが、最近では台湾や中国といった遠洋漁業国による公海での漁獲量の急増を受け、現在では漁獲量で世界3位に後退している。このような国際的な競争も不漁の一因と考えられている。
環境要因とその影響
海洋研究によると、2010年代の高水温や海水温の上昇がサンマの資源量減少の要因とされている。特に、索餌海域である親潮周辺の海洋環境の変化が、サンマの回遊ルートの変化や漁場形成に影響を与えていることが指摘されている。
また、高排出の気候変動シナリオによると、2100年までにサンマの主要な生息適地が最大94%縮小し、個体群の分布の中心が北東方向へ400km以上移動する可能性があるという予測もある。このような環境の変動がサンマの生態にどのように影響を与えるのかは重要な課題である。
資源量の急減については、乱獲よりも海水温や餌となるプランクトン量といった海洋環境の変動が繁殖成功率に影響を与えているとの研究も存在する。漁場の位置も年によって変動しており、2022年には漁場が沿岸から遠く、魚群も薄かったため水揚げが過去最低水準となった報告がある。この対照的な状況は、海洋環境の変化が漁業に直接的な影響を及ぼしていることを示唆している。
一方で、2024年には漁場が沿岸に近く、魚群もまとまっていたため水揚げが回復したとの情報もある。2025年も型が大きく水揚量がやや回復したという点から、漁業は依然として様々な要因に影響を受け続けている。
まとめ
サンマは、その独特な生態と短い寿命により、特有の漁業環境を形成している。しかし、近年の不漁は、漁獲量の減少、環境要因の変化、国際的な漁獲競争など、複合的な要因によるものである。今後の漁業の持続可能性を考える上で、これらの問題点に対する適切な対策が求められる。