ダークウェイヴを形作ったシンセサイザーたち

2026.07.29

ダークウェイヴを形作ったシンセサイザーたち

ダークウェイヴとは

ダークウェイヴ(dark wave)は、1970年代後半から1980年代初頭にかけて、ヨーロッパの特定の地域で発展した音楽ジャンルである。特にイギリス、西ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス、イタリアなどがその中心地となった。ニューウェイヴやポストパンクの陰鬱な変種として、1980年代初頭のヨーロッパの音楽誌において「ダークウェイヴ」という呼称が使用され始めた。

1993年以降、アメリカのレーベル「Projekt Records」の創設者であるサム・ローゼンタール(Sam Rosenthal)がドイツの音楽雑誌を参照してこの用語を採用したことにより、ダークウェイヴはアメリカでも広がりを見せた。

ダークウェイヴの特徴

ダークウェイヴは、ゴシックロックの陰鬱な雰囲気とエレクトロニック音楽の合成的な音色を組み合わせたジャンルとされる。ゴシックロックがギター主体のサウンドであるのに対し、ダークウェイヴはよりシンセサイザーを主体とした音作りが特徴となる。これにより、荘厳でありながらも神秘的な雰囲気を醸し出すことが可能となっている。

ダークウェイヴのアーティスト

代表的なダークウェイヴのバンドとしては、Attrition、Clan of Xymox、Lycia、Deine Lakaien、Diary of Dreams、Black Tape for a Blue Girlなどが挙げられる。これらのバンドは、80年代から現在までにわたりダークウェイヴシーンにおいて重要な役割を果たし、ジャンルのファン層に大きな影響を与えている。

また、Joy Division、Siouxsie and the Banshees、The Cure、Bauhaus、Depeche Mode、Soft Cell、Dead Can Dance、Cocteau Twinsといったニューウェイヴ・ポストパンク系のバンドもダークウェイヴのファン層に支持されている。

シンセサイザーと音作り

ダークウェイヴの音作りには、特定のシンセサイザーが広く使用されてきた。特に、ローランドが製造したポリフォニックシンセサイザー「Juno-6」や「Juno-60」は、当時高価だったSequential Circuits社の「Prophet-5」の低価格な代替機として、多くのミュージシャンに支持された。特にCabaret Voltaireがこれを使用したことで、その名は一層知られるようになった。

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Sequential Circuits社の「Prophet-5」は、「ポリフォニックシンセサイザーの王」と称され、多くのアーティストに愛用された。Kraftwerk、Depeche Mode、Gary Numan、New Order、Soft Cellなどがこの機種を用いて新しい音楽を生み出していった。

また、ローランドのアナログモノフォニックシンセサイザー「SH-101」も重要な役割を果たした。このシンセサイザーは、Depeche Mode、New Order、Soft Cell、Throbbing Gristleなど、さまざまなバンドによって利用された。

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Clan of Xymoxの音作りの変遷

オランダのダークウェイヴバンド、Clan of Xymoxは、初期にはわずかなアナログシンセとKorgのドラムマシンを使用して音作りを行っていた。中心メンバーのロニー・ムーリングス(Ronny Moorings)は、1984年にTASCAMの4トラックレコーダーやヤマハのシンセサイザー、ギターを使って制作を始めた。以降、さらにKorg M1、Juno-106、Akai S900(サンプラー)、Oberheim DPX、MIDI化されたMinimoog、Oberheim Matrix 1000などを使用し、スタジオ環境を拡充させていった。

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その際のドラムマシンには、Sequential Circuits社の「Drumtraks」やLinnDrumが活用された。

Cocteau Twinsのスタイル

イギリスのバンドCocteau Twinsは、1982年のアルバム『Garlands』でレーベルの意向によりローランドの「TR-808」を使用した。1985年のEP『Aikea-Guinea』からは「TR-707」に切り替え、その後の『Tiny Dynamine』『Echoes In A Shallow Bay』でも引き続きこのドラムマシンが使用された。また、サンプリングやシーケンスに関しては、Akaiの「MPC60」も用いられた。

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The Cureのシンセサイザー利用

The Cureは、初期の作品ではKorgの「700S」や「800DV」、ローランドの「RS-09」といったシンセサイザーを用いていた。ボーカルのロバート・スミス(Robert Smith)はSequential Circuits社の「T-8」を所有していた。アルバム『The Top』では、ローランドの「JX3P」「Juno-60」、ヤマハの「DX7」など多様なシンセを利用した。

『Head on the Door』や『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』では、「JX8P」やARPの「String Ensemble」、Emulator II、Mirageといったサンプラー・シンセを重ねて用いる手法が取られた。このようにして、ストリング系シンセサイザーを何層にも重ねることで、ゴシック色の強いポップサウンドが形成された。

まとめ

ダークウェイヴは、独特の雰囲気を持つ音楽ジャンルであり、その音作りにおいてシンセサイザーは欠かせない存在である。さまざまなアーティストがこのジャンルに寄与しており、使用される機器やスタイルも多岐にわたる。今後もこのジャンルは、音楽シーンにおいて重要な位置を占め続けるだろう。