日産自動車、凋落の3要因とホンダ破談後の反転攻勢
2026.08.03
日産自動車の凋落の原因
日産自動車は、2018年のカルロス・ゴーン元会長の逮捕以降、その経営方針に一貫性を欠いた。逮捕後の日産は戦略転換を繰り返し、これに伴い内部での混乱が生じた。これらの混乱によって経営の基盤が揺らぎ、会社のブランド力にも影響を及ぼした。
日産の経営危機の背後には、複数の要因が絡み合っている。「北米でのEVシフトの遅れ」「中国市場の急減速」「為替逆風」という三重苦が経営を圧迫した。特に北米市場においては、EV販売が当初計画を大きく下回り、顧客ニーズに対応できていない状況が続いた。
さらに、日産固有の商品戦略にも問題があった。台当たり収益の低さや、販売目標と実績の乖離が指摘されている。人気モデルをタイムリーに投入できず、工場稼働率が低下したことで固定費が増加。在庫を減らすための販売奨励金(インセンティブ)の積み増しも必要となり、これがさらに収益を圧迫する要因となった。
経営統合の試みとその反発
2024年12月、日産はホンダとの経営統合について基本合意に至った。しかし、ホンダ側が日産の「子会社化」を提案したことに対し、日産経営陣は強く反発した。このため、2025年2月には統合協議が白紙撤回され、さらなる混乱を招く結果となった。
経営再建策「Re:Nissan」の発表
2025年5月、日産は経営再建策「Re:Nissan」を公表した。この施策では、世界従業員の約15%にあたる2万人の人員削減が実施されることが明らかにされた。また、2028年3月期までに世界各地で7工場の削減を打ち出した。これにより経営の効率化を図ることが期待された。
2026年3月期の決算では、リストラに伴う費用や米国での関税影響により、最終損益が5,330億円の赤字となった。この状況の中、イヴァン・エスピノーサCEOは決算発表で「日産は劇的に変化した」と強調。その背景には、コスト削減活動があり、固定費と変動費合わせて5,000億円の削減を目標に掲げ、すでに2,000億円超を達成したと発表した。手元流動性は約1兆円規模を維持しているという。
戦略の見直しと新たな方向性
戦略面では、日産はこれまでのEV単独路線から、ハイブリッド・PHEV・EVを組み合わせるマルチパス戦略へと転換した。北米市場では、e-POWER方式のハイブリッド車を本格投入する計画が立てられている。これにより、需要に応じた多様な提案を行い、市場での競争力を強化しようとしている。
新型車の投入計画と期待される業績改善
2026年度には、日本国内で新型エルグランドをはじめとする5車種、米国・カナダ向けの新型ローグ(e-POWER搭載)、欧州向け新型ジューク(BEV)など、複数の新型車が投入される予定である。これにより、顧客ニーズに応じたラインアップの強化を図り、販売台数の回復を目指す。
また、2026年度の営業利益目標は2,000億円、2027年3月期に向けては黒字転換を見込んでいる。このような新たな方向性と施策が功を奏すれば、日産の経営は回復に向かう可能性がある。
まとめ
日産自動車は、カルロス・ゴーン元会長の逮捕以降、経営方針に混乱をきたし、多くの問題を抱えた。しかし、経営再建に向けた具体的な施策を通じて、コスト削減や商品戦略の見直しが進められている。新型車の投入やマルチパス戦略への転換を通じて、今後の業績回復が期待される。日産のこれからの動向が注目される。改善の兆しが見える中、次なる一手が経営をより強固なものにできるかが重要である。