ビール販売、4年連続で前年割れ 酒税一本化に賭ける各社の一手

2026.07.25

ビール販売、4年連続で前年割れ 酒税一本化に賭ける各社の一手

日本のビール販売量の減少とその背景

日本における酒類全体の消費数量は、1994年をピークに減少傾向が続いている。この流れはビール市場にも影響を及ぼしており、ビール大手4社(アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビール)が発表した2026年上半期(1〜6月)のビール類の販売実績によると、業界全体の販売数量は前年同期比で3%減となった。これにより、4年連続の減少が記録されている。

メーカー別では、アサヒビールが金額ベースで1%減、キリンビールが2%減、サントリーが数量ベースで1%減、そしてサッポロビールは横ばいという結果だった。この減少の主な要因として、物価高による消費者の節約志向の広がりが挙げられている。

酒税改正とその影響

酒税法の改正が2020年10月から段階的に進められ、「ビール」の税率が引き下げられ、これに対して「発泡酒」や「新ジャンル(第三のビール)」は税率の引き上げが行われてきた。2023年時点での350ml缶あたりの酒税額を見ると、ビールが63.35円、発泡酒が46.99円、新ジャンルが37.80円である。

2026年10月には酒税が一本化され、ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税が1キロリットルあたり15万5000円(350ml缶換算で54.25円)になる。これにより、これまで税制上の価格優位性を持っていた発泡酒や新ジャンルは実質的に値上げされる一方、ビールは実質的に値下げとなる。このことで両者の価格差が縮まる見通しである。

各メーカーの施策

サントリーは2026年10月の酒税改正を見据え、9月までに「ビールカテゴリー」と「エコノミーカテゴリー」の両輪でマーケティングを強化する方針を採っている。ビールカテゴリーでは「ザ・プレミアム・モルツ」や「サントリー生ビール」、「パーフェクトサントリービール」に注力し、エコノミーカテゴリーでは「金麦」に力を入れる。

キリンビールは、代表商品「一番搾り」などのビールブランドと、2024年発売で人気を集めている新ジャンル「晴れ風」など、酒税改正で税率が変わる商品群それぞれに対し、価格戦略を使い分ける方針を示している。

アサヒビールは、アルコール度数3.5%以下の低アルコール飲料およびノンアルコール飲料を合わせた「スマドリ(スマート・ドリンキング)」という戦略を推進中であり、これらの販売数量比率を2025年までに20%まで高める目標を掲げている。ノンアルコール・低アルコール市場全体は約9300億円まで拡大し、2030年には2兆円超を目指す市場として位置付けられている。

各社は酒税改正を機に商品刷新や新ブランド投入に注力し、顧客獲得競争を強めている。2026年には「東京クラフト Helles」や「金麦 陽だまりの散歩道」(サントリー)、さらに「晴れ風ACTION 桜デザイン缶」(キリン)、「黒ラベル EXTRA FEEL」(サッポロ)などの新商品が投入される予定である。

これらの施策により、日本のビール市場における競争が激化していくことが予想される。消費者の動向や市場の変化に柔軟に対応し、各企業がどのような独自の戦略を展開していくのかが注目される。