イスラエル総選挙、結果次第で何が変わるのか:3つのシナリオと連立の行方
2026.10.26
2026年10月27日イスラエル国会総選挙の展望
2026年10月27日、イスラエルで第26期クネセトの総選挙が実施される。この選挙は、2023年10月7日のハマスによる襲撃以降初めての選挙であり、ネタニヤフ首相への信任投票とも位置づけられている。また、この選挙は第25期クネセトが正式に解散した後の選挙でもあり、4年の任期を全うしたのは1988年以来初めてである。
クネセトの定数は120議席で、全国1区の拘束名簿式比例代表制が採用されている。議席を獲得するためには得票率が3.25%(約4議席分)以上でなければならない。過半数を得るには61議席が必要であり、これまで単独で過半数を獲得した政党は存在しないため、連立政権が必須となる。公式結果の確定は11月4日の予定であり、大統領から組閣を委任された候補が28日以内に連立をまとめられない場合、再選挙に戻る可能性がある。
主な陣営
選挙における主な陣営には、ネタニヤフ陣営と反ネタニヤフ陣営が存在する。ネタニヤフ陣営はリクード、シャス、宗教シオニズム・ゼフート、オツマ・イェフディット、統一トーラー・ユダヤ教(UTJ)で構成されている。特に、ウツマ・イェフディットのベングビール国家安全保障相はガザ停戦に反発し、これが連立に影響を与えている。
一方、反ネタニヤフ陣営は、「変化」陣営と称され、ガディ・アイゼンコット元参謀総長の新党ヤシャルを中心に、ベネット元首相とラピド前首相の合同名簿、ヤイル・ゴラン元副参謀総長の民主党、リーベルマン元財務相のイスラエル・ベイテヌなどが含まれる。変化陣営は国家調査委員会の設置や首相任期制限の導入などを掲げており、アラブ系政党との連携については未定である。
世論調査の結果
選挙を控えた世論調査では、ネタニヤフとアイゼンコットの支持が事実上互角であることが示されている。タイムズ・オブ・イスラエルによる調査では、回答者の多くがネタニヤフが組閣できなければ辞任すべきと考えていることが明らかになった。また、KANが発表した調査結果では、アイゼンコット陣営が52議席、現連立が51議席とされ、有権者の約30%が未決定であることが報告されている。
最大の関心事は経済と安全保障であり、アラブ系政党の議席増加が鍵を握る可能性もある。アラブ系である合同リストとラアムが両党の立候補を認められた一方、青と白は撤退を表明したため、選挙用紙にその名が残ることとなり、死票につながると見込まれている。
選挙結果に基づくシナリオ別の展望
シナリオ1: ネタニヤフ陣営が61議席に到達
ネタニヤフ陣営が61議席に到達した場合、現在の極右派と連携した路線が続くと予想される。オツマ・イェフディットが議席を伸ばすことで、ベングビールの発言力が強まる可能性がある。この場合、国内外に対する強硬政策が継続されるとの見方が強い。
シナリオ2: 変化陣営が政権を握る
変化陣営が政権を握る場合、ハレディ政党やアラブ系ラアムとの連立が求められる。UTJがアイゼンコット主導の政権を妨げないとの表明がされていることから、彼ら抜きで61議席を目指す方針となる。極右勢力が排除されることで、国内外の関係がより穏健になる可能性があり、トランプ政権の地域外交も深化するとの見通しがある。
このような変化は、特にヨルダン川西岸での入植者による暴力への対策や、米国との関係改善に寄与する可能性がある。アイゼンコット政権が実施する公約の実現が焦点となる。
シナリオ3: 膠着状態
両陣営が61議席に届かない状況になると、アラブ系政党が重要な役割を果たすことになる。この場合、アイゼンコットとネタニヤフの間で首相を交代で務める輪番政権、アラブ系政党と連立を組む道筋が考えられる。また、超正統派との連立が模索される可能性もある。
連立交渉には数週間を要する可能性があり、再選挙も現実味を帯びる。元米政府高官のエリオット・エイブラムス氏は、このシナリオを十分ありうると示唆している。
外交政策への影響
どの結果が出ても、イランやレバノン、シリアに対する強硬姿勢は変わらないとの見方が広がっている。外交の方向性が急変する可能性は低いと専門家は指摘している。また、パレスチナ国家樹立についても、ユダヤ系が多数を占める政党が反対しているため、審議は先送りされ続けると予想される。